3:トンコウまで中国自慢の高速鉄道で砂漠地帯を進む


どこかで見たような先頭車両

綺麗な車内で音は静かだ

車内で配られた弁当です


 トルファンの駅で厳重なボディチェックを受けて乗り込んだ高速電車は四時間ほどでトンコウの柳園南駅に着いた。

新幹線よりも静かで巡回して来る掃除おばさんが車内を綺麗にしてくれたが、トイレの水が無くなり、汚物はペットボトルの

水で流した。終点までどうするのか心配でいたら、大柄な女性車掌が鍵をかけて使用できなくしていた。我慢が続くのか?

 

 ゴビ砂漠の南端を通るルートで居眠りしても車窓の景色に変化はなく、時速は170kmだろうか揺れも少なく静かな車内だ。


 駅から敦煌の中心街まで二時間のバス移動だ。

車窓からは地球の丸みが見える地平線まで砂礫の砂漠が続いている。

 蜃気楼が左窓でも確認できた。遠くに水面があるかのような景色だ。

 

 バスはカーブもなくまっすぐな道を交通ルールを守って速度を上げたり下げたり、やっと緑の市街地に入った。

 

 



 敦煌の町外れに突然に大きな砂山(鳴沙山)が出現した。

この一角だけが砂山でやっと本物の砂漠に出会えたようだ。

 

 山の高さは250mで、東西に40km、南北に20kmの砂だけの広大な山だ。

その砂山の中腹までラクダの背に乗り半周だ。

 数百頭のラクダが乗客を待って群がっている。

4頭のラクダを1組にして互いに結ばれている。二つのコブの間に角棒を渡してそれに板状の鞍がくくられ、前側に細い鉄の持ち手と足を置くアブミが下がっていた。

 

 ラクダは腹ばいになり、背中が大きくて鞍まで高さが70センチほどで、短い脚だとまたげない。鞍の幅は60センチはありそうだ。

 

 鞍にまたがるとラクダは後ろ足から急に立ち上がり、前方に振り落とされそうだ。

 ラクダに乗ると楽だ、と聞いたが地上から2メートルの位置になり、歩き出すと体が揺さぶられ持ち手をしっかり握り続けた。楽でなかった。

 

 観光ラクダは毎日同じ砂山の登りと下りで飽きたのか「ブエ〜〜」と鳴いている。

およそ40分間の体験だが、老体ラクダも辛かったのか、到着すると首を地面つけて、大きな体で寝転がった。



 ラクダを降りたすぐ近くに砂山に囲まれた三日月形の池がある。月牙泉だ。

予想した場所は広い砂漠の真ん中だったが、バスの駐車場に近いところでガッカリ。

 

 屋根のふちが反り上がった中国風の建物は、今はお土産屋さんになっている。

以前はお寺だったが紅衛兵に破壊されてしまったようだ。

 湖面は昔の半分になってしまい、周囲の都市化などで地下水がなくなったとか。

 

 バス乗り場まで電動カートで5分足らず、ラクダの旅は長かった。



 街外れに巨大な劇場が出現した。

敦煌大劇院の入口で型通りの荷物チェックとボディセンサーでチェック。ロビーに踊りを模した巨大な木製の壁飾りにまず驚き、観客席の高い天井、中国のやることはデカイや。

 

 莫高窟の壁画の完成までの物語だ。左右の大画面に英文で表示があった。四弦のビワを弾く姿を描く物語で手の動きと体を反り返る踊りが演じられていた。

 天女の姿を模した場面もあった。